欠勤控除が多い従業員の平均賃金が低くなるのは、しょうがないのか?

社労士5000

【Q】欠勤控除が多い従業員の平均賃金の算出、低くなるのはしょうがない?

近く、会社都合の休業日が発生する予定です。
休業日はできる限り本人同意のうえで、有給休暇を使用してもらいたいと考えています。

ところが、従業員の中に、欠勤が多く、有給休暇の残日数がない者がいます。

弊社は、欠勤控除の制度を導入しているため、休業手当の支払いのために平均賃金を計算すると非常に低い額となってしまいます。

こういった者に対しては、しょうがないこととして、欠勤控除の反映された低い平均賃金の支払いで問題ないのでしょうか。

【A】「欠勤控除していない額」で計算!

使用者の責めによる休業の場合、平均賃金の6割以上の休業手当を支払うこが法律により義務付けられています。

そして、ここで言う「平均賃金」とは、事由発生日以前3カ月の賃金総額を「総暦日数」で除した金額を用いるのが原則です。

ただし、「日給・時間給制、出来高払い制その他請負制」による場合は、3カ月の賃金総額を「実際に労働した日数」で除した金額の60%が最低保障額となります。

この最低保障額は、賃金の一部または全部が日給等によって定められている場合についてのみ規定したもので、原則、欠勤控除のある日給月給制には適用できないとされています。

しかし、欠勤控除のある賃金制度で、単純に賃金総額を暦日数で除して計算すると、平均賃金が著しく低額となるケースがあります。

このような場合には、例外として、日給月給制(賃金が月によって定められ、かつ、その期間中の欠勤日数・時間数に応じて減額される制度)の場合、「欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間の所定労働日数で除した額の60%」が最低限度と解釈することとされているのです。

従って、

①欠勤控除した総額を暦日数で除した額が、

②欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間の所定労働日数で除した額の60%により計算した金額、

に満たないときは、②の金額を平均賃金として休業手当を算定する必要があることに注意をしましょう。