問題行動社員の解雇が有効とされた判例をもとにポイントを解説

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社労士5000

いわゆる問題社員の解雇が有効とされた裁判例

東京地裁令和元年8月1日判決では、問題社員の解雇が有効とされました。

問題社員対応では、会社側が対応に苦慮されることがありますが、本件は休職を命じずに解雇した点についても有効とされています。

会社側の対応も参考になるので、ご紹介します。

本件は、被告は電化製品等を販売する株式会社で、被告が経営する店舗の販売員でした。被告は、以下のような問題行動がありました。

  • 被告が主催する英語講座において、誹謗中傷の言葉を習いたいなどと申し出る
  • 勤務時間中に食堂で休憩
  • インカムで、同僚に不適切な発言
  • 無断早退する
  • 無断で長時間売場を離れる

会社側の対応事例

会社側は問題社員を注意指導していくこととし、会社側が原告の問題行動を確認し、注意指導した場合には内容を記録していました。

会社が対応し、記録した一覧は以下の通りです。

  • 2015年 6 月 6 日改善指導書を交付
  • 2015 6 月 18 日改善指導書を交付
  • 2015 年 8 月 10 日付譴責の懲戒処分
  • 2015年10 月 7 日付出勤停止の懲戒処分
  • 2016年 1 月 20 日改善指導書を交付
  • 2016年 3 月 8 日付降格(降給)の懲戒処分

このように会社側は注意し、懲戒処分を積み重ねてきました。

社員へのメンタル面の対応

本件の社員については、精神疾患が疑われたため、会社もその点の対応を行っています。

  1. 会社側は、産業医が原告と面談をさせ産業医からは「メンタルクリニックを受診を」等の診断が下されました。その後会社は当該社員に対し、就業規則に基づき専門医を受診して診断書を提出するよう命令したものの、原告が必要な検査を拒んだため、そのときは診断書作成には至らず。
  2. その後原告から、精神科の診断書が提出され、診断書には「病名 反応性うつ病 上記疾患にて当院に通院加療中である」と記載されていました。

その後も原告は産業医との面談や、専門医を受診し、原告はいくつかのクリニックを受診し、診断書には「病名 適応障害、心身症 本日の診察の結果、上記病名であるものと診断する。…当分の間通院加療をすること、および、職場では環境調整などの対応をすることが望ましい。」などの記載がありました。

その後、2016 年 4 月 15 日、会社側は、当該社員を解雇しました。

裁判所の判断

裁判所は、当該社員の多くの問題行動、会社の改善指導、懲戒処分等の事実を認定し、当該社員に改善がみられなかったと判断して、解雇を有効としました。

会社が休職措置を取らなかったことにについては、以下の通り、問題ない旨を判示しました。

  • 原告から休職の申出がされたことは窺われないこと
  • 被告の社員就業規程においては、被告が休職を命じるためには、業務外の傷病による勤務不能のための欠勤が引き続き 1 か月を超えたこと、又は、これに準じる特別な事情に該当することや、医師の診断書の提出が必要とされているところ、原告が 1か月を超えて欠勤した事実は認められないこと
  • また、証拠によれば、被告は、原告にたいして精神科医の受診を命じた上で、診察した医師に対して病状等を照会したものの、原告の精神疾患の有無や内容、程度及び原告の問題行動に与えた影響は明らかにならなかったこと

解雇を有効にするための方法とは

上記のように、会社側の解雇を有効にするための方法としては、注意と懲戒処分を積み重ねるというのがあります。

最初の注意から解雇まで1年近くかけて、記録も取りつつ、会社が対応しているので、その点を裁判所も評価し、解雇を有効としています。