富士そばが訴えられた!労働審判制度の法律と対応策

社労士5000

富士そばが、労働審判で訴えられた!

立ち食いそば「名代富士そば」を運営するダイタングループの従業員16人が、同社に対して未払残業代など計約2億5000万円支払いを求める労働審判を東京地裁に申し立てていたことがわかりました。

訴えられた内容としては、ダイタングループは、一部従業員が残業しているにもかかわらず、残業していないように勤務記録の改ざんを長年行っていたとされます。

また、従業員が出勤している日に雇用調整助成金の対象となる「特別休暇」と記録したり、勤務中の従業員のタイムカードを午後6時頃にまとめて押して退勤扱いにし、毎月の締日に勤務記録を書き換えて残業記録を抹消したりしていたとのことです。

月200時間の残業を記録上0にされていた例もあるとされます。

今後、事実関係の是非が争点になりますが、その是非を判断する労働審判手続きをについて、会社としての注意点を解説します。

労働審判とは

労働審判とは、会社と労働者との間に生じた労働関係紛争を迅速かつ適正に解決することを目的としてに導入された制度です。

通常の裁判と異なり、裁判官である労働審判官1人と労働関係の専門家である労働審判員2人で組織する労働審判委員会が審理し紛争解決を目指します。労働審判員は、労働者側の専門家と使用者側の専門家の構成です。

労働審判委員会によって期日に審理がされるのですが、この審理は原則3回までとなっています。

通常の民事裁判は、回数も決まっておらず、期間も長くなりがちですが、労働審判は3回で決着がつきます。

そして、実務的には、第1回目までに主張立証を全て提出し、第1回目の期日で争点整理、和解の可能性を詰めて、第2回目で決着というケースが多いです。

決着については、労働審判委員から解決案が提示されて、当事者に異議がなければ確定し終了します。異議が申し立てられた場合は労働審判は失効し通常訴訟手続きに移行することとなります。

労働審判のメリット・デメリットとは

労働審判手続きの一番のメリットはやはり簡易・迅速であることです。通常の民事訴訟だと平均すると1年近くかかりますし、場合によっては2~3年かかります。

第1回目期日までは、40日程度しか時間は無く、その間に事実確認をして答弁書を用意する必要があります。

労働審判の場合は2ヶ月程度で終了することとなります。また、通常訴訟よりも柔軟な解決策を提示することも可能です。

逆にデメリットとしては双方の対立が強い場合、労働審判では終局的な解決が見込めず、結局訴訟によることになってしまう点です。

通常訴訟では、労働審判が経由していることが考慮され、通常よりも迅速な裁判になることが多いですが、それでも時間はかかります。

労働審判を経由した分だけ、逆に時間がかかってしまう場合もあるので、注意が必要です。

会社側は労働審判の対応を早急に

以上のように労働審判は訴訟よりも簡易・迅速で労働者側に負担の少ない紛争解決手段と言えます。

特に、会社側で従業員から労働審判を申し立てられた場合には、第1回期日までに、会社の主張や証拠を全て提出する必要があります。通常の裁判のように、後から出しますというのは通用しません。

しかも、労働審判の第1回期日は、通常書類を受け取ってから1か月後くらいで設定されているので、意外と準備期間がありません。

弁護士に依頼するとなると、打ち合わせや確認の時間も考えると、早急に対応を決める必要があります。

会社側は、適切に対応するようにしましょう!