新型コロナウィルスの影響で、余剰の従業員をどうするか
新型コロナウイルスの影響で、余剰人員の問題が多発しています。
政府としては「雇用調整助成金」などにより、失業者が出ないような政策が取り組まれていますが、全てが負担されるわけではありません。
経営者としては、「解雇」の必要があるのか、「助成金」でしのげるものなのか、判断に迷うところだと思います。
社労士&弁護士として、この局面をどう考えるのか、判断基準についてざっくりと解説します。
結論:助成金に期待をし過ぎず、解雇も視野に入れて検討を!
「解雇は従業員のためにもしたくない!」と、考える企業は多いかと思いますが、解雇しなかったことにより、負債が増えてしまい、結果として倒産してしまうのでは、元も子もありません。
助成金は、審査に通るかも不明確で、支給が決定しても直ぐに給付が行われるものではないので、あまり期待すし過ぎるのは禁物です!
従業員には申し訳ないですが、解雇もしっかりと視野に入れて検討をする必要があると言えます。
結果として、解雇とした方が、直ぐに失業給付が出たりと従業員にもメリットがあることもあるからです。
雇用調整助成金を申請する(解雇はせず、休業とする)場合
「雇用調整助成金」は、従業員を休業とさせた場合の休業手当について、一部を助成するというものです。
概ね、次のような流れで進みます。
- 休業手当を払う(本来の給与の60%以上)
- 雇用調整助成金の申請
- 計画届の提出
- 1~2ヶ月後に国から入金
助成金って、いくらもらえるのか
休業の状況や、休業手当の支払い状況など各種支給要件にもよりますが、概ね、休業手当(本来の給与の60%)の約90%(最大約8000円)が支給されることになります。
雇用調整助成金を申請する場合のメリット
会社側のメリット
- 雇用を守れる
- 雇用保険対象外(アルバイト等)の方も対象
従業員側のメリット
- 職を失わない
雇用調整助成金を申請する場合のデメリット
会社側のデメリット
- 申請手続きが大変
- 外注する場合は、報酬分も考える必要がある/li>
- 入金がいつか不明
- 労基違反していたら受給できない
従業員側のデメリット
- 減給となる
解雇した場合
解雇の場合、概ね以下のような流れで進むことになります。
- 会社都合で解雇
- ハローワークで失業給付申請
- 8日目から失業給付開始
- 約5週間後に振込
いくらもらえるのか
勤続年数や年齢など各種支給要件にもよりますが、概ね90日から約1年の間で、元の給与の約60%~80%が支給されます。
解雇を選択する場合のメリット
会社側のメリット
- 会社のお金がでない
従業員側のメリット
- 元の給与の45~80%くらいは貰える
解雇を選択する場合のデメリット
会社側のメリット
- 人が戻ってくるか不明(日本に一時解雇の制度はなく、収束後の人材確保ができるか否かが不明)
従業員側のメリット
- 減給となる
- 失業給付をもらい続けるためには就活が必要
- 結果として元の会社に戻ると、再就職手当がもらえなくなる(転じて、元の会社に戻るという選択肢が薄くなる)
まとめ
無理に雇用を続けることが原因で、倒産まで陥ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、思い切って解雇を選択したことで、落ち着いた後の人材難に陥るといったことも考えられます。
苦しい選択ではありますが、以下の点を確認し、判断するようにしましょう。
- 当面の会社の資金(キャッシュフロー)の余裕の程度
- 企業としての人材の重要性(呼び戻せるのか)