IT企業やSES事業者は二重派遣(多重派遣)で派遣法の違反をすると罰則もある

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近年、どの業界でも人手不足が問題となっています。

その中でもIT業界は、人手が不足していない企業がないと言っていいくらい、弊所(グローウィル社会保険浪士事務所)のどのIT企業のクライアントでも人手不足に悩まされていると耳にします。

正社員の採用活動が思うようにいかず、人手不足の状態の際には、取り急ぎの対策として派遣や業務委託を利用することが多くなってきます。

人手不足の企業としてみれば、非常にありがたい即戦力の派遣や業務委託ですが、特にIT業界では、二重派遣(多重派遣)の問題やトラブルが頻繁に発生します。

中でもSES事業を行っている企業では、二重派遣の問題非常に発生しやすく、行政も摘発に力を入れているような状態です。

人手不足の救世主でもある派遣や業務委託ですが、IT企業、SES事業者における二重派遣とはどういったものなのでしょうか。

社労士5000

二重派遣とは

二重派遣とは、派遣元に雇用される派遣労働者を受け入れた企業(派遣先)が、さらに別の企業へ当該派遣労働者を派遣させる行為を指します。

派遣元であるA社と雇用契約を締結する派遣労働者Xを、派遣労働者として受け入れたB社が、自社(B社)の派遣労働者としてA社XをC社に派遣するといったような商流です。

IT業界では、客先に常駐して作業をすることがあることから、このような流れで人を集めている企業が多くあります。

しかし、これは職業安定法や労働基準法で明確に禁止されている行為(二重派遣)にあたり違法行為となります。

二重派遣となるとどうなるのか

二重派遣が発覚した場合には、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処される可能性があります。

ここで罰せられるのは、二重派遣をした企業(上記B社)はもちろんですが、その二重派遣を受けた企業(上記C社)も処罰の対象となるのです。

また、罰せられるのは法人だけではなく、法人の代表者や規模が大きい企業では人事責任者などの個人に対しても処罰の対象となることもあるのです。

さらに、二重派遣の違反に対して、行政(労働局等)から是正の勧告が出された場合、その是正指示に速やかに従わないと、違反企業として社名を公表などの行政処分を受けることもあります。

行政処分においては、最悪の場合、派遣免許の取り消し事業停止・廃止命令などの会社の存続がかかるような処分を下されることもあるのです。

二重派遣の抜け穴として使われるSES

SESは、請負や準委任などのいわゆる業務委託の形式であり、委託された仕事を完成させること、委託された仕事をこなすことが目的のため、派遣の様に指揮命令や労務管理を行うことはできません。

しかし、客先に常駐して作業を行う場合などで、発注者が受注者に対して直接指揮命令をしてしまっていることが非常に多くあります。

これは、請負契約に見せかけた派遣行為(偽装請負)であり、派遣法に違反する行為に当たります。

本来、派遣元事業者となるためにはライセンスが必要であり、その取得には資本金などの要件があります。

このライセンスの取得が難しい企業にとっては、業務委託契約により客先に常駐し、発注者による指揮命令をしていれば、派遣と同様の労務提供がライセンスなしでできてしまうことになります。

適法な業務委託の運用のもと、受け入れた派遣労働者を当該受託業務に従事させることは、何ら問題のない行為ですが、業務委託契約としながら、受け入れた派遣労働者に対し業務委託者の直接指揮命令や労務管理をさせた場合には、二重派遣に該当し、処罰の対象となるのです。

こうしたSES契約を利用した偽装請負は非常に多く行われており、近年、労働局も摘発に力を入れているとのことです。

まとめ

IT企業、特にSES事業を行う企業にとっては、非常に発生しやすい違反であり、非常に注意が必要なものになります。

摘発された際の罰則や行政処分も、非常に重い処分もあるので、派遣労働者を利用する際は、運用には細心の注意を払う必要があるのです。