【残業代の削減】必要のない残業をする社員に対する会社の対応とは

人手不足で残業が無くならない、と嘆く企業は多くありますが、どの会社にも共通して言えるのが、残業をさせたくてさせているのではないということです。

残業させれば、その分の賃金はもちろんのこと、それに加えて割増賃金の支払いが必要になり、当然その分の人件費が増すことになります。

そのため、会社側としては、その日に終わらない分は残業により頑張ってもらいたい部分ではありますが、必要のない残業はさせたくはないでしょう。

しかし、なかには、残業するほど業務がなくても無理に残業をして残業代を稼ごうとする従業員も少なからず存在します。

今回は、このような必要のない残業をする従業員に対する対策を考えていきます。

社労士5000

対策1:残業を許可制に

本来残業は、会社側が残業をすることを命じて初めて残業することができ、従業員の独自の判断で残業ができるものではありません。

しかし、過去の裁判例では、会社側の命令はなく、従業員が自己の判断で勝手に残業をした場合であっても、それを会社側が注意しなかった場合、残業を黙認していると判断され、その残業が認められてしまうことが多くあります。

そのため、従業員の自己判断による残業を防ぎ、会社の黙認ではないとするためには、残業が必要な従業員は申請をし、会社から残業の許可をもらう許可制にすることが望ましいと言えます。

許可制にすることで、従業員からの残業の申請の際、業務状況の確認ができ、不要な残業を減らすことにつながります。

その際、できるだけ会社が許可したことを書面やメールにより記録を残しておくことが望ましいと言えます。

書面等による申請とすることで、言った言わないのトラブルを避けることができるほか、未払い残業代請求などで不当な請求があった場合などには、証拠書類としての役割を果たしてくれます。

この残業の許可制ですが、残業の申請をしないで残業している従業員を野放しにしていては、状況としては一切変わらず、残業の黙認と何ら変わりがないので、帰宅を促したり申請を出させるなど、制度面だけではなく運用面においても適正に行われていなければ効果がありません。

対策2:36協定は絶対

「時間外・休日労働に関する協定届」いわゆる36協定を締結していなければ、一切の残業は違法となります。

締結すらしていないといった企業は多くはありませんが、協定期間が過ぎたまま更新されていないといったことは多々あります。

従業員が1人でもいて、1分でも残業がある場合には、必須の協定です。

特に、スタートアップ企業やベンチャー企業においては、そもそも36協定を締結しているか、既に締結している企業においては、更新がされているかを確認しましょう。

対策3:就業規則の整備

就業規則の作成、届出は、従業員が10人未満の企業においては義務ではありませんが、何においても基準となるルールがなければ、違反なのかどうなのかも判断できません。

残業が許可制であっても、そのルールが定められたものがなければ、慣習として行っていても、「そんなルールはなかった」と言われてしまえば、返す言葉もありません。

法律に違反するようなことでなく、会社内で一定のルールに従わせるためには、会社のルールブックである就業規則を、10人以下でも整備する必要があるのです。

対策4:雰囲気づくり

どんな制度を設けようと、「残業をしない奴は仕事をしていない」「先輩より先に帰ってはいけない」など、残業をしないことが悪いことの様な雰囲気や暗黙のルールがある会社は、いつまでたっても無駄な残業はなくなりません。

様々な制度を導入することも必要なことですが、従業員皆が残業をしないようにしようとする雰囲気を作ることも非常に重要なことです。

上長や管理職の方は、積極的に帰りを促したり、自身も率先して帰ったりと、残業をしない人を評価したりと、「残業をしないことはいいことである」という雰囲気を作れるようにしましょう。

まとめ

原点に立ち返って考えると、本来、残業をしないで必要な業務をこなしている人が、一番優秀な人材であると言えますが、皆いつからか、遅くまでいる人が仕事をしているように錯覚してしまってるのです。

会社が率先して不要な残業を減らすことで、未払残業トラブルや人件費削減にもつながるのです。