会社の有給休暇の買い取りは違法?例外や対策はあるのか!?

有給休暇の時効は2年の為、付与から2年が経過したものから順次、消滅してしまいます。

従業員からしてみれば、なかなか有給休暇が取れないあげく時効により無くなってしまうのなら、その有給休暇を買い取って欲しいと思う従業員も少なくないはずです。

福利厚生の一環として、有給休暇の買い取り請求を認めている会社もあるようですが、この有給休暇の買い取り制度については、非常に注意が必要なのです。

社労士5000

有給休暇の買い取りは・・・

結論から言うと、原則、有給休暇の買い取りはできません。

有給休暇とは、労働者の心身をリフレッシュさせるための権利です。心身をリフレッシュさせることにより更に生産性を向上させるといったことを目的としています。

この権利を消滅させてしまうことはもとより、権利を行使することなくお金に換えてしまうということは、労働基準法の有給休暇制度の主旨にそぐわない行為になります。

そのため、原則として有給休暇の買い取りは認められていないのです。

お金に換えて休暇を取らないことで、疲労は蓄積し、結果として生産性が下がることにもつながります。

例外として、有給休暇の買い取りが認められる場合

上記では、有給休暇の制度主旨から、その買い取りは原則認められないものであると記載しましたが、例外として認められるケースがあります。

(1)有給休暇の法定付与日数有を超えた部分の買い取り

有給休暇の付与日数については、契約形態などにより、最低限の付与日数が法律上決められていますが、それを超える日数分については、買取が認められます。

例えば、入社1年目の正社員では、法律上付与されている日数は10日となりますが、別途社内規定により5日有給休暇が付与される場合、有給休暇の合計は、15日となります。

この15日の内、法定の付与日数以外である5日分については、会社により買取とすることが可能です。

(2)退職や時効による消滅分の買い取り

退職や時効の到来により、使えなかった分の有給休暇についても、会社側が買い取ることが認められいます。

既に有給休暇が使えないため、買い取ったとしても、有給休暇の制度主旨に反しないことが明らかであるからです。

どちらにしても、就業規則でその制度を明示しておくことが必要です。

なお、買い取った金額は賞与の扱いになり、賞与支払届の提出が必要になりますので、その点も注意が必要です。

買い取りができない場合の対応策

有給休暇の制度主旨から、原則買い取りができないことは分かりましたが、とは言え、有給休暇を使いきれなかった場合には消滅、とすることは、労働者にとっては不満に感じることでしょう。

統計データ的には、日本の有給休暇取得率は50%ほどと言われており、約半分が消滅していることになるのです。

会社側としても、有給休暇がなかなか使えないとい状態は、従業員の健康や職場定着率の低下などの問題を引き起こす要因となります。

その対策のひとつとして、積立休暇制度というものがあります。

積立休暇制度とは、使いきれなかった有給休暇を貯めておいて、病気や怪我、その他休まざるを得ないような非常時のみ、使えるようにするといった制度です。

有給休暇の未消化とは、心身をリフレッシュする機会がないということであり、これは同時に病気などのリスクを高めているといえます。

有給休暇の未消化により、病気などのリスクが高まっている状態にもかかわらず、未消化分に関しては消滅していっている場合でも、緊急時の休みは保証されているということになり、法律上の規定だからといって単に消滅させるよりも、満足感を感じることが期待できます。

会社側としては、通常の有給休暇の様に自由に使えるものではないので、導入しやすいものとなります。

まとめ

有給休暇の買い取りは、原則認められませんが、例外もあります。

例外に該当しない場合でも、個別の対策があるため、自社の有給休暇の取得状況や従業員の意見などを参考にしつつ、制度を検討する必要があるでしょう。