有給休暇の半日取得は、会社としてどのように扱う必要があるのか?

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有給と言えば、日単位に取得することが一般的ですが、多様な働き方・休み方が推奨される昨今では、半日単位での有給取得を認める企業が増えてきています。

この、半日単位の有給休暇の付与には、法律上の規定はないため、半日有給制度を導入しなければならないといった義務もありません。

そのため、半日有給制度を導入するには、会社単位で制度を定めなければなりません。

社労士5000

半日有給制度の導入時の注意点

上記でも記載したとおり、半日有給制度の導入については、法律上の定めはありません。そのため、導入するには、自社内でルールを策定し、就業規則に定めておく必要があります。

この、ルールを策定し就業規則に定める際には、労働者側の利益を損なう(不利になる)ような内容であってはいけません。

たとえば、半日の有給を、1日の有給として取り扱う場合、半日の有給は0.5日と換算し、2回の半日有給で1日として取り扱う必要があります。

その他にも、次のような事項について注意しなければなりません。

半日をどう定めるか

半日有給制度を導入するためには、「半日」とはどういったものをさすのか定義しなければなりません。

この定義があいまいであると、労働者の考えていた半日と、会社側が考えていた半日に違いがあった場合には、トラブルが発生してしまう可能性があります。

そのため、「半日」の定義については、就業規則にしっかりと明記しておく必要があります。

半日の定義については、概ね次の2つが考えられます。

  1. 午前と午後で区切るもの
  2. 所定労働時間を2で割るもの

(1)で区切る場合、始業時間によっては、午前と午後で時間が異なってしまい、公平性に欠けてしまうことがあります。

ただ、この問題は、制度上やむを得ないものと考えられており、いずれの半日を取得した場合でも、有給休暇のカウントとしては、0.5日として考えることになります。

(2)の方法により区切る場合には、時間的公平性の問題は解決しますが、別の注意しなければならない点が出てきます。

それは、取得する半日(4時間)が所定労働時間の間とならないようにする必要があるという点です。勤務2時間、有給4時間、勤務2時間といったことはすることができないのです。

半日有給の給与計算事情

半日有給制度を導入した場合の給与計算は、通常の1日の有給の計算時と同じ方法により計算します。

1日の有給の計算方法とは、次の3通りです。この3通りの中から1つを選択し、その方法により計算をします。

(1)通常の労働日として扱う方法

普段の出勤日と同様に扱うといった方法です。

有給休暇の残日数の管理のみで、特別な計算をしない方法になります。大半の企業がこの方法によるものでしょう。

(2)平均賃金による計算

平均賃金とは、賃金に含めるもの含めないものや、下限額など細かな規定はありますが、ざっくり言うと、過去3カ月の賃金の総額を、その3カ月の暦日で割った金額です。

これにより算出された日額を用いる方法です。

(3)健康保険の標準報酬月額の日割りによる計算

健康保険の支払額を決定するための「標準報酬月額」を30分の1した金額を日額として扱う方法です。

なお、この方法を用いる場合には、労使協定を締結する必要があります。

特段の事情がなければ(1)による方法が大半です。

これらのどの方法を採用するかは、労働者と会社とで考えが違うと、金額が変わってくるものなので、必ず就業規則に明記しておくようにしましょう。

半日有給を取得した日の残業の扱い

もし、半日有給を一日の前半に取得した日に、所定労働時間を超える労働(通常勤務時の残業)をした場合、その処理はどうなるでしょうか。

半日有給取得日に、所定労働時間を超えた労働(残業)をしたとしても、所定外時間を含めて8時間を超えない限り、残業とはなりません。

つまり、割増賃金の支払いは必要ないということです。

有給の時間単位の付与

上記で、有給休暇の「半日付与」に関する法律はないと述べましたが、「時間単位付与」に関する規定は存在します。半日より細かい(1時間単位)切り分けについてです。

時間単位付与は、労使協定を締結すれば、年に5日を限度として、1時間単位で年次有給休暇を与えることができるようになります。

この制度は、半日有給制度とは全く異なるものであるため、混同しないよう注意が必要です。

まとめ

働き方改革の一環により、有給休暇の一部の取得が義務化され、会社としても、できるだけ有給休暇の取得に努めてもらう必要があります。

年次有給休暇の半日単位の取得制度は、労働者の多様な事情・希望に沿いながら、年次有給休暇の消化率を高めるためにも有用な制度と言えるでしょう。