よく休む・すぐ休む・休みがちな社員への会社がとるべき対応とは【2021年12月】

どこの会社でも、そこで働く従業員の中には、健康面で休みがち・よく休む人が一定数います。

「最近の若者は・・・」と言うと、時代遅れな考え方と批判をされるかもしれませんが、比較的に若い世代の従業員に多く見られます。

体が強くない事を承知の上で雇用しているとなれば話は別ですが、採用時にそういった話はなく、健康であるとして入社したにもかかわらず、頻繁に休むというのは、体調が悪いとはいえ、会社としては困ってしまいます。

無理に来させるわけにもいかないし、かといって、しょうがないと諦めるのは、業務的にも他の従業員の士気にも影響が出てきてしまいます。

こういった休みがち・よく休む従業員に対し、会社として、どのような対策とったらいいのでしょうか?

社労士5000

会社の対応策1:会社による健康チェック

寝ていれば良くなると言って、病院での医師の診察を受けないことがありますが、自己判断では、欠勤が長引いたり、復帰しても再発し、また休むなどと、休みがちになる原因になります。

もしインフルエンザなどであった場合、治りきっていないにもかかわらず、復帰した場合には、会社中に蔓延してしまう可能性があります。

そのため、会社としては、必ず医師の診察を受けさせるようにしましょう。

また、会社は、特に休みがちな従業員に対して「うつ病の可能性があることも考えておく必要があります。

勤怠状況が悪くなる前に、業務上やプライベートで大きな変化があった従業員に関しては、特に注意が必要です。

仕事で大きなミスをしていた、親しい間柄の人が亡くなったなど、マイナスな要因はもとより、結婚や昇進など、一見プラスに思える事柄でも、本人にとってはプレッシャーやストレスを抱えている可能性があります。

そして、最も重要なのが、そのプレッシャーやストレスに当の本人が気づいていないことがあるということです。

そのため、会社としては、単に体の病気だけではなく、心の問題の可能性があることも視野に入れ、場合によっては心療内科などの受診を勧めるなどといった対応も必要になります。

一般の病院や、心療内科などで受診をし、特段病気というほどのものでなければ、指導や懲戒などといった処分を、もし何らかの病気と分かれば、会社としても、休職や業務内容の変更、場合によっては退職や解雇などの処分も検討することができるようになります。

会社の対応策2:自社のルール(就業規則)の確認、整備

何らかの病気と診断されれば、休職や解雇などといった手続きが必要になることがあります。

従業員の欠勤について、特に病気などの理由はなく、単なる「ズル休み」という事であれば、指導や懲戒など言った処分が必要になります。

これらを実施するには、就業規則に定めがある必要があります。

そのため、自社の就業規則を確認し、規定がなければ整備するようにしましょう。休職の規定については、最低限、次の事項を決めておく必要があります。

  • 休職を認めるための要件(○か月以内に○日以上の欠勤がある場合、連続して○日以上欠勤がある場合、など)
  • 休職の期間(○○の場合には、○か月、など)

そして、会社側が有利になるために、次の事項を入れておくことをお勧めします。

  • 休職や復職の条件に、医師の診断書が必要であること(医師との共謀や誤診などを防ぐため)
  • 治療や診断書を書く医師(病院)は、会社が指定することができること(医師との共謀や誤診などを防ぐため)
  • 復職後、同一の傷病により再度休職する場合には、休職期間は通算とすること(同じ事由による休職・復職を繰り返させないため)
  • 定めた休職期間を満了した段階で、復職できない場合には、退職とすること(長期の休職を防止するため)

従業員にも健康に働く義務がある

会社側には、様々な側面で健康に働けるような職場環境を作る義務があるのですが、従業員にも、健康で働くために自ら健康を保持する自己保全義務」というものがあります。

これは法律(労働安全衛生法26条)により定められており、罰則もあります。(50万円以下の罰金)
仮病や出勤できる程度の傷病にも関わらず、欠勤を繰り返すような従業員には、場合によっては、「上記の法律上の義務や雇用契約に違反している」といった説明をする必要もあるかもしれません。

まとめ

上記のような対応や処分をする際には、ルールの整備だけではなく、必ず、当該従業員の意見や話を聞きながら進めるようにしましょう。

会社が簡単に解雇が出来ないことを知っていて、仮病や理由の乏しい欠勤を繰り返すようであれば、他の従業員の士気を下げないためにも、場合によっては、毅然とした態度で対応することが必要かもしれません。