退職金制度は本当に不要?今だから考えたい退職金制度の4つのメリット!

一昔前までは、退職金制度はあるのが当たり前の世の中でした。

しかし、転職することが当たり前のこととなり、雇用が流動的になった昨今、特に中小企業やベンチャー企業では、退職金制度を設けていない企業が増えてきています。

退職金制度なんて会社の負担!と思っている経営者、特にベンチャー企業やスタートアップ企業は、退職金制度など他人事の様に考えていることも多くありますが、退職金制度にメリットはあるのでしょうか?

社労士5000

退職金は、払わなければいけないのか?

退職金制度を設けない企業も増えてきていますが、これは法的に問題ないのでしょうか?

退職金制度を設けないことは、法的に問題はありません。退職金の支払いに法律的な義務はなく、制度を設けるか否かは各企業の裁量に任せられます。

ただし、制度を設ける場合には、就業規則等にその内容を記載し、周知しなければならないという法律上の義務が発生します。

退職金制度にはメリットもある!

退職金制度を導入しない会社の経営者は、退職金は、従業員にとっては嬉しい制度だが、会社にとっては何のメリットもない、と考えられることが多くありますが、会社にとっても次のようなメリットもあるのです。

(1)優秀な労働者の確保

優秀な人材を確保するためには、事業内容や業務内容だけではなく、雇用条件もそれなりである必要があります。

今や大企業にしかないような退職金制度が、中小・ベンチャー企業で整備されていれば、現状高い給与を支払えなくても、魅力的な条件と言えるかもしれません。

中途採用であれば、優秀な人材は大企業出身者であることが多いので、退職金制度が整っていた過去があります。

安定を捨ててまで、中小・ベンチャーへ転職するということは、ある程度将来の保証の様なものはなくなることは覚悟しているでしょうが、やはり、あると嬉しい制度であり、これが決め手となることもあるのです。

新卒採用に関しても、同程度の規模の会社ではない退職金制度があることによって、それだけでもその企業を選ぶ価値があると言えます。

結果として、単に求人に対する応募も増えますし優秀な人材も応募の対象として見てくれる確率が高くなるのです。

(2)従業員の引き留め

会社としては、一度入社したからには、できる限り長期間働いてほしいと考えるのが一般的かと思います。

働く期間が長いほど、退職金の支給額が増えるような退職金制度にしておくことで、長期間働くことにメリットを感じてもらえることができ、結果として長く働いてもらうことにつながります。

(3)退職後のトラブル回避

いわゆるリストラなどにより従業員を退職させるような場合には、金銭による補償などがなければ、トラブルが発生することが多くあります。

退職金制度があれば、退職時のトラブルを抑制することが出来ます。

(4)就業規則違反の抑止

会社のルールとして、懲戒などがあった場合には、退職金を減額や没収する旨の規定を設けておけば、懲戒事由になる行為を抑制することが出来ます。

退職金を定める場合に必要な規定

新たに退職金制度を定める場合、または、退職金制度はあるものの、その内容を定めていない場合には、就業規則規定を定めなければなりません。

これは、法律上義務付けられていることです。特に、次のような事項を定めておく必要があります。

(1)適用範囲

特に、パートやアルバイトなどの正社員以外の雇用形態の労働者に対する適用の有無は、必ず記載しておく必要があります。
正社員以外は適用しないとすることも違法ではありません。

また、一定の勤続年数以上でないと支給しない旨や、役職によって算定率が変わる旨なども明確に記載しておく必要があります。

個々の記載があいまいになると、トラブルの原因になってしまいます。

(2)退職金の決定、額の算定

勤続年数や退職理由など、支給を決定するための要素や、算定率や計算方法などを具体的に明記しておきましょう。

また、退職金を不支給とする場合や減額とする場合の決定方法や、金額の計算方法なども記載しておく必要があります。

(3)支払方法

基本的には、一時金として一括で支払うか、年金として分割で支払うかになるかと思います。

年金とする場合には、そのルールについて、明確にしておくようにしましょう。

(4)支払時期

額が大きいことが予想されますので、どのタイミングで支払うのかをあらかじめ決めておくようにしましょう。

年金のような形で支払うのであれば、毎月払うのかや、何年に渡って払うのか、仮に死亡した場合にはどのような処理をするのかなどを定める必要があります。

まとめ

退職金は今やデメリットしかないと考えられることも多いですが、人手不足や雇用の流動化の高まりなどを考えると、いい人材に長く勤めてもらうためには、中小・ベンチャー企業こそ積極的に取り入れるべきかもしれません。