社員の無断欠勤が続いた場合の人事担当者がとるべき対応とは?【2021年11月加筆】

祝日やゴールデンウィーク、夏季休暇や年末年始休暇などの連休明けは、無断欠勤をする社員が非常に増える傾向にあります。

特に新卒の社員は、社会人として初めての連休であるゴールデンウィークを明けると、採用人数の多い会社では、何人もの社員が無断欠勤をし、最悪そのままフェードアウトするかの如く退職してしまうそうです。

会社にとっては非常に迷惑がかかるものであり、社会人としてあるまじき行為と言えます。

ただ、無断欠勤後、復帰するにしても、そのまま退職するにしても、会社としては何らかの対応を取らなければならないことに変わりはありません。

もし、無断欠勤者が出た場合、経営者や人事担当者としては、まずどういった対応を取る必要があるのでしょうか。

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無断欠勤者に対する初動対応

ひとえに無断欠勤と言っても、理由は様々です。一般的に考えられる理由としては、次のようなものがあります。

  • 特に明確な理由がない場合
  • 会社や上司との対立になどによる場合
  • 社内でのパワハラやいじめなどにより、出勤が困難な場合
  • 病気などが原因で、連絡が出来なかった場合
  • 事件や事故などに巻き込まれて、連絡が出来なかった場合

どの様な事情にせよ、連絡のない無断の欠勤となっている以上、会社側としては、どういった理由によるものなのかを知らなければなりません。事情によって対応も変わるからです。

そのため、当然のことと言えば当然のことなのですが、まずは、できる限り連絡を取るようにしましょう。

携帯電話はもちろんのこと、メールや固定電話宛、それでも連絡がつかなければ、緊急連絡先などがある場合には、そこへの確認などの対応もする必要も出てきます。

1日程度で復帰すればよいですが、数日たっても出勤しない場合には、安否の確認といった意味でも対応をしなければなりません。

会社には、社員に対して安全配慮義務を負います。

社会人にもなって無断欠勤などするような人間は、これを機に辞めてもらいたいなどと思うこともあるかもしれませんが、上記でも挙げたように、病気によるものや、事件・事故に巻き込まれたなどといった可能性があるかもしれません。

そういった可能性も考慮しないまま、連絡も取るなどの対処をせず、結果として病気で倒れて、事件・事故に巻き込まれて、死亡していた、などといった場合には、会社側の安全配慮義務違反を問われる可能性もあるのです。

電話での連絡が取れない場合

上記の様に、携帯電話、固定電話、緊急連絡先などを利用しても連絡が取れない場合には、メールや手紙による連絡や、自宅へ訪問するなどといった対応も必要になります。

電話連絡を含め、これらの対応をする際のポイントは、連絡を取った、手紙を送った、訪問をした、といった事実を記録として残しておくことです。

これは、上記でも触れた会社側の安全配慮義務違反を問われた時などに、会社はあらゆる手段で積極的に確認をしようと努力をした、という証拠になり、会社を守ることに繋がります。

記録がないと、本当に確認作業を行っていたのかが不明確となり、最悪、会社側は対応を怠ったなどと言われかねないのです。

記録の方法としては、次のような方法が考えられます。

  • 【電話】
    通話記録や録音、メモなどが一般的です。
  • 【メール】
    メール自体が記録になるので、送信の記録が消えないようにしておく必要があります。
  • 【郵送】
    配達された記録を残しておくことが望ましいので、特定記録郵便や簡易書留郵便、内容証明郵便などで送ると、配達された記録が残ります。
  • 【訪問】
    いつだれが行ったかを記録しておくことと、可能であれば、訪問先のポストや表札などの写真を残しておくと、より訪問したことが明確になります。また、欠勤者に対する訪問したことの証明として、訪問したことをポスト等に日時・訪問者・連絡先等を記載したメモなどを投函しておくようにしましょう。

罰則や対処方法などについて、自社のルールを確認する

上記のような確認対応を進めるのと並行して、連絡が取れて復帰した場合の処分や、連絡が取れない場合の対応などについて、自社の無断欠勤に対するルールがどのようになってるかを、就業規則雇用契約書などにより確認しておく必要があります。

就業規則や雇用契約書などルールに則って処理をしないと、後に「不当な扱いだ」などと騒がれることもありますので、よく確認してから対応する必要があります。

今後の方針を検討する

連絡が取れた場合や復帰した場合、または、相当期間連絡が取れない場合には、就業規則や雇用契約書に則り、どういった処分を適用するのかを検討しなければなりません。

会社でのルールがどの様になっているかにもよりますが、既に連絡がとれていたり、復帰する段階であれば、休職復帰後の処分について検討することになるでしょう。

一方で、相当期間連絡が取れていない場合には、懲戒解雇退職に向けた処分を検討しなければなりません。

退職の方向に進める際には、「不当解雇だった」などと言われないためにも、会社側としても慎重に行わなければなりません。

まとめ

無断欠勤に対し怒りを覚える気持ちは十分に理解できます。

しかし、その怒りから、連絡等の対応をしないでいると、思わぬところで会社側へ被害が及ぶこともあるのです。

経営者や人事担当者は、無断欠勤者に対する初動対応や、その後の流れをしっかりと把握しておき、粛々と対応を進められるように準備をしておく必要があるでしょう。