支払金額が2倍になる?!未払い残業代請求における付加金とは?

Pocket

茨城県の農家で働いていた外国人の技能実習生が、最低賃金を下回る時給300円程度の水準で働かされていたとして未払い残業代などの支払いを求めていた訴訟で裁判所は200万円の支払いを命じた事件がありました。

この200万円には労働基準法における「付加金」も含まれてた金額であるとされています。

未払い残業代請求訴訟では、未払いの賃金の他に「付加金」も併せて請求されることがありますが、この「付加金」とはどういったものなのでしょうか?

社労士5000

そもそも付加金とは?

付加金とは、解雇予告手当や休業手当など特定の賃金を支払わない使用者に対し、裁判所が労働者の請求に基づき、それらの未払金自体に加えて支払いを命ずることができる金銭のことを指します。

罰則として罰金や懲役などとは別の性質なもので、悪質な賃金の未払いである場合に、最大で未払い賃金と同額の支払いが命じられる場合があります。

しかし、法律上は、あくまで「労働者の請求」により「命じることができる」とされているので、必ずしも支払わなければならないということではありません。

付加金が付けられる要件とは?

付加金が認められるには、次の要件が必要となります。

  • 解雇予告手当を支払わないとき
  • 休業手当を支払わないとき
  • 割増賃金(時間外、法定休日、深夜労働)を支払わないとき
  • 年次有給休暇の日の賃金を支払わないとき

使用者に上記の未払いががある場合には、最大で上記未払い額と同額の付加金を請求することができます。

例えば、上記の未払い額が100万円であれば、最大同額である100万円、計200万円の支払いを命じられる可能性があるということです。

ただ、付加金を命じることができるのは「裁判所」と法律上明記されているため、付加金が認められてしまう可能性があるのは、訴訟に発展した場合に限られると考えられています。

付加金が免除される場合

上記にも述べたとおり、付加金の支払いを「命じることができる」のであって、「命じなければならない」訳ではありません。つまり、付加金の支払いを命じるかどうかは、裁判所の裁量に委ねられているということです。そのため、個々の事情によっては、付加金が認められないということもあります。

これには、明確な判断基準はなく、使用者側の対応の悪質性当該労働者が被った損害の程度などによって、個別、総合的に判断されることになります。

また、付加金は、違反のあった時から2年以内に請求しなければならないとされています。そして、付加金の請求期間には、時効のような中断(時効を止める)措置はなく、違反のあった時(支払わなければならない時に支払われず、その期日が過ぎた時)から単純に2年が経過したものから請求できなくなります。

付加金の金額

付加金は、裁判所の裁量により、請求の全額は認められないと判断されたからといって、付加金が0になる訳ではありません。

あくまで、「最大」で請求額と同額なので、最大でない可能性もあります。事案の状況よっては、一部の支払いだけ認めるといったこともあり得ますので、注意が必要です。

労働審判の場合にも、付加金は認められるのか?

付加金の支払いを命じることができるのは、「裁判所」と法律上明記されていますが、未払い残業代において利用されることがある「労働審判」においても、付加金を命じられることがあるのでしょうか?

労働審判において決定を下す機関は「労働審判委員会」とされており、「裁判所」にはあたりません。付加金を命じることができるのは「裁判所」であることから、労働審判では、会社に「付加金」の支払が命じられることはないとされています。

しかし、労度審判申立書には付加金を請求する内容の記載がされていることが多くあります。

これは、付加金が免除される要件の一つでもある2年の請求期間に関係しています。この請求期間は、時効の様に中断の措置がないため、時間が経つにつれて古い(2年に達した)ものから請求ができなくなってしまいます。

そのため、違反から2年が経ったものの請求権が無くなってしまわない様、労働審判の段階から請求するというのが実務上行われており、裁判所も労働審判上で付加金を請求すること自体は可能という判断をしているため、労働審判の段階から付加金請求の記載がされているのです。

まとめ

請求額が最大2倍となれば、どんな会社にとっても大きな痛手になることは言うまでもありません。

会社側の対応としては、付加金が課される訴訟になってしまう前に和解ができるよう対応する必要があるでしょう。