どこまでが残業?ダラダラ残業や付き合い残業も労働時間なのか?ケース別に検討してみる

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労働基準法では、会社が労働者に労働させてもよい時間の上限を、原則1日8時間、週40時間と定めています。

いわゆる法定労働時間です。

この法定労働時間をベースに、36協定などの各種手続きを経て、労働時間を増やしたり、代わりに休みを与えたりと会社にあった形へと制度を整えていくのが一般的となります。

しかし、この法定労働時間は、実際に働く時間のことについて定められたものであり、会社にいればいい時間ということではありません。

では、業務を与えていないにも関わらずいつまでも居残りしていたり、もはや業務とは一切関係ないことをしている「サボり社員」から残業代を請求されたら、会社は払わなければならないのでしょうか?

社労士5000

実労働時間の定義

実労働時間とは一般的に「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と考えます。

つまるところ、会社にいる時間が10時間であったとしても、実際に業務に従事していた時間が5時間ほどであれば、法定時間外労働(残業)等も生じていないと考えることができるということです。

また、所定の業務時間中に業務と関係のない私的な行為を行っていた場合についても、「使用者の指揮命令下」にないことから、労働時間には該当しないと判断するケースもあり得るということです。

どの様な場合、労働時間に当たるのか?

ケース1:始業時間の30分前に自主的に出勤し、業務のための準備を30分かけて行っていたが、実際には15分もあれば十分終わる内容であった場合

いわゆる前残業に当たる時間です。

この場合、現実に作業に30分かけたとしても、本来必要な時間が15分であれば、実労働時間は15分に限られると裁判上判断される可能性が高いと言えます。

しかし、これが仮に、会社が30分前出勤を指示していたのであれば、始業時間の30分前が、実質的な始業時間と言えるため、前残業と対象となると考えられます。

ケース2:終業時刻後、片付けや着替え等帰宅の準備をするわけではなく、なおかつ、業務に関係のない行為をしていた場合

業務とは関係のない私的行為があった場合には、「使用者の指揮命令下」からは外れるため、後に業務を再開したとしても、私的行為の延長と捉えることができ、実労働時間には当たらないとされています。

ケース3:営業等の業務により、自宅→クライアント1→クライアント2→自宅といわゆる直行直帰により労務に従事した場合の労働時間

自宅からクライアント1については、出勤時間と同じであり、実労働時間には該当しません。同様に、クライアント2から自宅の移動についても、退勤時間と同じであり、実労働時間にはなりません。

ただし、クライアント1からクライアント2への移動は、勤務時間内のため、労働時間となります。この考え方は、出張(海外を含む)の場合でも同様の考え方になります。

会社の対策とは

一生懸命働く人に、残業代や特別な手当などを与えることは、当然のことと言えますが、ダラダラと残業をしていたり、業務に関係のない行為をしている人にまで、同様の手当などが与えられていては、会社の士気に関わることです。

そのため、会社としては、次のような対策を講じることも必要です。

  • 無駄な残業には罰則を設ける
  • 会社や上司が、帰宅することをしっかりと命令する
  • 命令違反があった場合には、「注意指導書」などといった文書で正式に指導をする

従業員には、何が労働時間で、何がそうでないかをしっかりと理解させることが重要になります。