労働局からの「あっせん通知」やユニオンからの「団体交渉の申し入れ通知」への対処法【2021年12月加筆】

社労士5000

労働局からのあっせん開始通知がきた!

労働局からあっせん通知が来た!「労働局」という聞きなれないところから来ると、とても驚くかもしれません。

労働局からのあっせん通知がきた場合について、企業として、どのように対応すればよいでのでしょうか?

労働局の紛争解決手段としては、以下の3つの場合があります。

総合労働相談コーナー

これは、労働者のために、労働問題に対する相談、回答を行う窓口です。労働問題に関する情報の入手や個別の相談ができます。

労働局長による助言・指導

これは、各都道府県の労働局長から、労働問題に対して、解決策を助言・指導してもらう制度です。

この制度は、当事者に対して問題点を指摘し、解決の方向を示すことにより、自主的な解決を促すものです。

紛争調整委員会によるあっせん

上記は、あくまで、自主的な解決を促す制度です。上記のような自主的な解決が難しい場合に利用されるのが、紛争調整委員会によるあっせんです。

当事者の一方(労働者が多い)が、あっせんの申請を行うと、もう一方へあっせん開始通知が送られます。

あっせんでは、双方があっせん案を受け入れ、合意すれば解決となりますが、合意が得られない場合や、一方があっせんの場自体に参加しない場合は、打ち切りとなります。

このあっせんへの参加は任意です。参加について、法的な強制力はなく、労働局からのあっせん開始通知に応じなくても、裁判のように、「敗訴」となるわけではありません。

また、あっせんに応じず、労働者から訴訟提起された場合でも、その裁判に悪影響を及ぼすことはありません。

しかし、企業側としては、裁判になったときよりも、あっせんで解決した方が、和解金の金額は、低額になるケースが多いです。

特に、日本の場合、法律上も、労働者に有利になっていますので、裁判になると、企業側が不利になるケースも多いです。

また、あっせんを申し立てを行う労働者は、企業側が、あっせんに参加しなかったことで意地になり、訴訟でなかなか和解に応じないということもありえます。

企業としては、あっせんに応じた方が有利な解決になることが多いです。

よって、あっせん開始通知を受けた場合には、法律的に自社が有利なのか、不利なのかを見極めて、不利なのであれば、あっせんで解決する方がよいでしょう。

合同労働組合(ユニオン)から通知がきた

企業経営していると、合同労働組合(ユニオン)から通知がくることがあります。

労働組合(労組)は、労働三法の1つである労働組合法によって規定された、労働者全体の利益のために団体交渉(団交)などを行う組織です。

以前は、会社ごとに労組があったのですが、現在では会社ごとの労組ではなく、個人でも加入できるユニオンという形態が主流になっています。

ユニオンは、企業や職種等によらず個人で加入できます。また、業界団体ごとのユニオンなどもあります。

ユニオンからの通知が来た場合、経営者がやってはいけないのは、忙しいといった理由で要求を拒むことです。

法律上は、企業側は、労組からの団体交渉の申し入れについて、拒否すると、団交拒否という不当労働行為にあたるとみなされ、法律違反となる可能性があります。

この法律違反については、都道府県の労働委員会(労組の裁判所のようなところ)に呼び出され、最悪の場合、1年以下の禁固や100万円以下の罰金を科される恐れもあるのです。

ここで会社側としては、団交については応じるが、日時については、一定程度の期間を取るようにしましょう。不用意に団交にいって、不利な言質を取られるのは、よくありません。

企業側としては、しっかりと事実関係を把握し、企業として有利なのか、不利なのかをしっかりと見極め、交渉に臨むようにしましょう。