コロナ問題で増えた、IT企業からの労務質問を弁護士・社労士が回答

社労士5000

IT企業から多いコロナ対策の質問

弊社は、社労士事務所と法律事務所を運営していますが、顧問先からコロナ対策でも、労務法務の相談を多数受けています。

そこで、今回は、顧問先から受けた質問についての回答をしたいと思います。

売り上げがダウンした場合、損害を填補してくれるような制度は?

雇用調整助成金は、売上ダウンなどによって、「解雇」せず、(1)労働者を休業させている間、平均賃金(直近3か月の給与の平均)の60%以上を支払った場合や、(2)仕事がない間、職業訓練を受けさせた事業主に対して支給される助成金です。

今回はこの「雇用調整助成金」に特別措置が取られ、通常の要件より緩和されて助成金が支給されることになっています。

助成率は、休業補償の3分の2(大企業は2分の1)かつ1人1日あたり8,330円が限度となります。

学校が休みになっている中学生までのお子さんをお持ちの従業員に、年次有給休暇とは別に特別有給を付与した場合にも、100% (1日 8,330円限度)の助成金が支給されます。

東京都では、テレワークのためのPCタブレット等の購入代金が100%(250万円限度)支給予定など、各県単位等でも、助成金を発表し始めています

こちらは、東京の事業者向けの助成金一覧です。弊社ともお付き合いのある「情報の泉」がまとめています。日々最新情報が更新されていますので、チェックしてください。

東京の事業者向けの助成金一覧

新型コロナに備えた就業規則の整備

コロナに罹患した方に対する就業禁止規定は、安全衛生法第68条に基づいて、明記することが考えられます。

また、自社従業員が、コロナウイルスの危険にさらされないよう、下記のように就業規則を変更することが考えられます。

  1. 「3か月単位の変形労働時間制、時差出勤などを導入することができる」の文章を入れておけば、労使協定を結ぶ等のみですぐに導入をすることができます
  2. 人「勤務場所の変更として、自宅勤務を命ずることがある」などとして、テレワーク(リモートワーク)を見込んだ記述、その際の負担(PCやネット環境)なども就業規則または別規則に盛り込む
  3. 休暇や特別休暇の条文などに、「新型コロナウイルス等の流行があったとき、必要な期間(◯◯日間)の有給料の休暇」などの規定を設けるのも有効

在宅勤務(テレワーク)を命ずる時に注意すべきことは?

まずは、ルール構築が大切です。

具体的には、就業規則の整備、セキュリティルール環境の確認、勤怠管理、通信費等の費用負担、業務報告メール策定などになります。

厚生労働省からガイドブックが公開されており、通常のテレワークと変わりはありませんが、急遽、労働者の就労環境が変わるため不安要素を取り除くべく、在宅勤務前の十分な社内教育が必要です。

特に在宅勤務の場合、中抜け時間も考えられますので柔軟な労働時間管理が求められます。

また、上⻑からのメール送信の抑制(深夜・休日など)、システムのアクセス制限、残業・休日出勤禁止など⻑時間労働による健康障害防止を図ることが求められます。

会社で出勤ルール(発熱・咳症状などは出勤不可)を破った場合のペナルティ

まずは、口頭での厳重注意が妥当です。発熱症状は個人差がありますし、いきなりこれだけで懲戒処分は難しい面があります。

いきなり懲戒処分するのではなく、なぜ出勤ルールを設けたのかという新型コロナウイルスに対する企業方針を再度理解させる必要があります。

  1. 労働者・関係者の生命・安全・健康の確保
  2. 社内資産と環境保護
  3. 事業継続性の確保

以上を従業員に徹底的に理解させましょう!