テレワークにおける労働時間管理の方法と規則の条項例【2022年7月加筆】

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コロナ時代におけるテレワークで、どうやって労働時間を管理するのか

テレワークにおいて、従業員に関する労働時間の把握については、どのような点に留意すればよいでしょうか。

テレワーク従業員についても、労基法上の労働時間(実労働時間)の把握が必要となります。その具体的な方法としては、電子メールによる報告や勤怠管理ツールへの入力等、自己申告によるのが基本となると思われます。

注意すべきは、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」において、自己申告制により労働時間を把握する場合には、以下のことが必要です。

  • 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施する

特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など,事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすることが要求されているところです。

実際、労働基準監督署でも、自己申告に係る労働時間とPC ログイン・ログアウトの記録や入退場記録等の客観的記録を比較し、一定以上の乖離がある場合には適正な自己申告がなされているかを確認するフローの構築が求められています。

労働時間把握に関するテレワーク規則の定め

企業においてテレワークに関する規則を定めるのであれば、当該規則には、テレワーク勤務中の労働時間の設定と管理に関する事項に関する条項を設けるべきです。

具体的には、以下の条項を設けることになります。

  1. テレワーク勤務者に関する始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ等に関する条項
  2. テレワーク勤務者に関する勤怠管理(始業・終業時刻の把握)の方法に関する条項
  3. テレワーク勤務者の時間外労働・休日労働の手続に関する条項

特に上記(3)、すなわちテレワーク勤務者の時間外労働・休日労働の手続に関する条項を定めるにあたっては、テレワークガイドラインに記載があることを踏まえ、時間外・休日労働については「事前申告・許可」と「事後報告」の双方が必要であることを明記しておくことが考えられます。

以下において、当該ガイドラインの記載も意識した条項例を示しますので、参考にしてください。

テレワーク規則の条項例

テレワーク規則中に、労働時間等の報告/時間外労働等に関する条項例としては、以下の通りです。

第○条(業務の開始及び終了の報告)

在宅勤務者は就業規則第○条の定めにかかわらず、勤務の開始及び終了について次のいずれかの方法により報告しなければならない。

(1) 電話 (2) 電子メール (3) 勤怠管理ツール

第○条(業務報告)

在宅勤務者は,定期的又は必要に応じて,電話又は電子メール等で所属長に対し,所要の業務報告をしなければならない。

第○条(時間外及び休日労働等)

1.在宅勤務者が時間外労働,休日労働及び深夜労働(以下「時間外労働等」という)をする場合は、所定の手続により事前に所属長に申請し、許可を得なければならない。

2.前項の定めにより在宅勤務者が時間外労働等をした場合には、所定の様式により速やかに時間外労働等の実績を報告しなければならない。

テレワークの労働時間管理は明確に

テレワークガイドラインにおいては、テレワーク中の労働者に対して、企業側が具体的な業務のために急きょ至急の出社を求めたような場合は、当該移動時間は労働時間に当たるとされています。

このような点も踏まえて、各企業の考え方を整理しておくことが必要です。