完全月給制の遅刻・早退・欠勤に賃金の支払いは必要か?ノーワーク・ノーペイの原則とは?

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遅刻や早退、欠勤した従業員に対して、どのような労務処理を行っているでしょうか?

労働問題の話題が盛んにされている昨今では、「ノーワーク・ノーペイの原則」といった言葉を耳にしたこともあるのではないかと思います。

このノーワーク・ノーペイの原則とは、その名のとおり、「働いてない分の(賃金)支払いはない」といった原則です。

では、どういった場合でも、働いていない分の賃金の支払いはしなくても良いのでしょうか?

社労士5000

ノーワーク・ノーペイの原則とは

ノーワーク・ノーペイの原則とは、「働いてない分の(賃金)支払いはない」といった原則です。

原則とは言いますが、法令上明記されたルールというわけではありません。あくまで、考え方のひとつという立ち位置になります。

通常、雇用契約は、従業員の労務の提供に対し、使用者が賃金を支給する双務契約の考え方になります。

この契約から、労務の提供がない部分については、従業員は当然に賃金請求権が発生しないという考え方がもとになっています。

会社ごとに定められている所定労働時間に対し、遅刻や早退、欠勤や勤務時間中の私用外出などがあった場合には、ノーワーク・ノーペイの原則によって、所定労働時間内の不就労部分については、賃金を支払わない(控除)とすることが正当化されます。

天災や交通機関トラブルなどによる場合は?

地震や台風などの天災や交通機関のトラブルなどによって、所定労働時間に勤務ができなかったり、欠勤してしまうといった、従業員自身が原因ではないやむを得ない不就労という場面もあります。

このような場合も、ノーワーク・ノーペイの原則は成り立つのでしょうか?

天災や交通機関トラブルなどの当事者双方の責めに帰することができない事由によって、就労することが出来なかった場合には、民法の危険負担の規定が適用され、就労することが出来なかった損失は、従業員が負担することになります。(民法536条)

そのため、上記のような場合で、従業員が就労できなかった部分については、会社側は賃金の支払い義務は発生しないことになります。

要するに、ノーワーク・ノーペイの原則は成立することになるのです。

休業手当が支払われている場合は?

上記のように、当事者双方の責めに帰することができない事由と違って、会社側の都合による休業という場合もあります。

例えば、材料や機材を期日までに準備できなかったため、やむなく休業とした場合などです。

このような場合、会社側は平均賃金の60%以上の休業手当の支払い義務が通常発生します。

このような場合には、従業員が実際には働いていなくても、法律上の特別な定めも相まって、ノーワーク・ノーペイの原則は成立しないのです。

完全月給制の場合

最近は、遅刻や早退、欠勤した場合は、その分の支払いは控除するというルールをあらかじめ設けた日給月給制を導入している会社が増えてきていますが、遅刻早退欠勤があっても控除するといったルールを設け居ていない完全月給制の会社も多くあります。

この様な完全月給制の場合、上記のようなノーワーク・ノーペイの原則により遅刻早退欠勤などの分を控除することは、原則違法な行為となります。

あくまで原則違法なので、自社の就業規則や給与規程・賃金規程の内容によりノーワーク・ノーペイの原則も適用される可能性はありえますので、自社の規定をよく確認してから原則の適用を考える必要があります。

まとめ

ノーワーク・ノーペイという言葉だけが独り歩きし、ただただ働いていな分は払わなくていいと考えている方も少なくはありませんが、自社の規定や契約、その時状態によっては、原則が適用されないこともあるという事を知っておかなければならないのです。