IPOを目指す上で、必要な規程とは
IPOをするにあたっては、必要な規程類を整備する必要があります。
必要な労務関係の規程類の一例としては、以下になります。
労務規程例
- 就業規則
- 退職金規程
- 介護休業規程
- 給与規程
- 育児休業規程
- 人事考査規程
必要な規程類については、以下から、ダウンロードできます。無料ですので、ダウンロードしてみてください。
労務資料の整備のステップ
労務関係資料については、以下のようなステップを取ります。
- 現状の規程類の棚卸(何があるのか、何が足りないのかの把握)
- 上場審査に求められる水準を把握、それに見合った規程の作成
- 2で作成された社内規程を実際に運用&自社の実態に合っているのかの検証
- 実態と合っていない場合には、規程と運用状況の見直しを行う
このような規程整備⇒検証を、1年ぐらいのスパンをかけて行っていく必要があるのです。
1)社内規程の現状把握
まず、社内に存在する規程に何があるのかを検証することから始めます。
会社によっては、必要なものが揃っていることもありますが、大半のところは、定款や就業規則、給与規程などの基本的な規程のほかは、全く規程が置かれていないことも多いのが実状です。
また、規程が作成されていたとしても、他社の規程をそのまま流用し、結果全く会社の実情と整合していなかったり、社内規程に反する慣行ができ上がったりしている場合が多々あります。
2)規程の作成
次に必要な規程の作成を行っていきます。規程については、作成して終わりではないので、実態に合わせた規程を作成する必要があります。
優先順位としては、「業務分掌規程」および「職務権限規程」などの組織に関する規程を優先すべきです。
この際には、社内の各部門・各組織および地位ごとの各個人がどのような権限をもち、どのような責任を負っているかを、整理・制度化のうえルールにまで落としこむことが必要です。
3)社内規程の運用と検証
上場審査では、内部管理体制につき、上場企業にふさわしい社内規程が整備されているかだけではなく、社内規程に従って適切に運用されているかが検証されます。
上場審査では、各規程を作成し、運用した実績が1年以上あることが求められています。
そうなると、上場申請の直前期に入るまでには、組織や業務管理体制を整理のうえ規程作成を完了し、運用をスタートさせておく必要があるのです。
運用の状況については、以下のような観点から検証されます。
会社の業務実態への適用状況
上場審査においては、規程に定められたとおりに、実態として運用されているかがチェックされます。
たとえば、取締役会の決裁事項とされている業務につき、取締役会決議を経ず実施されている場合については、規程の運用の適切性について、疑問視されることになります。
また、規程に従った運用がなされている場合であっても、その規程が業務実態と整合しておらず、業務上の非効率を生んでいる場合には、規程の方を修正する必要があります。
業務フローチャートとの整合性
「新規上場申請のための有価証券報告書(Uの部)」においては、業務フローチャートとして記載することが求められます。
業務フローチャートとは、主に経理関係業務についての事務の流れを帳簿等の動きとして図表化したものであり、上場審査上は、実際の取引の処理についてフローチャートに従ってその内容が確認されるとともに内部管理体制の有効性が検証されることになります。
社内で実際に行われている業務の流れについてあらかじめフローチャートを作成して規程作成時にはその内容を反映させるとともに、規程運用時には、フローチャートと照合することにより、規程の定めと整合した業務処理が実際になされているか、または業務処理に関する規程に不備がないか等について検証を行う必要があります。
自社ビジネスモデルへの適合性
規程の内容が、会社のビジネスモデルに適合しているかも重要な確認のポイントとなります。
たとえば、外注先が多数存在し、会社業務において大きな割合を占めているのであれば、外注先管理規程をしっかりと作成し、かつ、会社の外注業務の実態と整合的なものとなっているかの確認を行う必要があります。
IT企業などでは、外注を使うことも多いと思いますので、この点はしっかりとケアする必要があります。
上場審査でのコンプライアンス体制が、厳しくなっている
近年では、上場にあたり、会社のコンプライアンス遵守体制が厳しく問われています。
特に労務問題は、上場企業でも、問題が多発していることもあり、上場審査において、厳しく指摘されています。
上場を考えている企業は、十分に注意するようにしましょう。