新型コロナウイルスでIT企業が従業員に関して対応するべき労務ポイントを解説

社労士5000

新型コロナウイルスの労務対策はどうする?

新型コロナウイルスが猛威をふるっています。企業も、テレワーク(リモートワーク)に切り替えるなど、対応を迫られています。

そこで、今回は、新型コロナウイルスの労務対策について、お伝えします。

本人及び同居の家族に感染が疑われる場合

会社には、従業員に対して、最適な状況で働かせる安全配慮義務があります。なので、感染した・同居の親族に感染者がでた場合には、従業員に報告をさせるべきです。

会社でも感染者が出る前から、感染者や濃厚接触者が出た時の対応方法について、予め方針を発表しておくことが望ましいと思います。

家族が発症した従業員への対応

家族が感染した場合、同居の家族は濃厚接触者となり健康観察の対象です。

他の従業員や顧客に感染させる可能性があるためテレワーク(リモートワーク)にする必要があります。

また、毎朝の体温について、報告をさせることを義務化させることも考えられます。

テレワーク(リモートワーク)後にあたっては、感染予防のためにマスクの着用を指示する配慮も必要となります。

家族の看護や子供の学校が休校になったため、休業する従業員への給与

会社の自主的な判断により自宅待機を命令した場合以外は、休業手当を支払う必要はありません。

しかし、就業規則に特別休暇の規定がある場合に、本件に適用されるのかなど予め会社として決めておく必要があります。

なお、小学校就学前の子を養育する従業員が、子の看護のための休暇制度が義務化されています。

会社に規定が無くとも適用となりますので、申し出があった場合は拒まないようにしてください。この場合の賃金は、会社の定めによりますので、無給と定めておけば、それで構いません。

しかし、他の家族看護の場合と同様に、自宅待機を指示する場合は、休業手当の支払いが必要になりますので、均衡のとれた取り扱いに配慮する必要があります。

コロナにかかった従業員を出勤停止にできる?

新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は法律に基づき、都道府県知事が該当する従業員に対して就業制限や入院の勧告等を行うこととなります。

また、就業制限の対象となった労働者を休ませた場合、会社は休業手当を支払う義務はありません

被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。

休業・自宅待機命令を出した場合の給与は支払う必要がある?

 従業員が新型コロナに感染した場合

都道府県知事が行う就業制限によって休業しますので、給与の支払い義務はありません。

行政側からの要請や指示による休業の場合

事業者には不可抗力ですので、給与の支払い義務はありません。

熱などの症状があり、感染の疑いがある従業員を会社の判断によって休業・自宅待機をさせた場合

労働者に熱などの症状がある場合は、社会通念上労務の提供ができないと考えられるため、給与の支払い義務はありません。

社内の感染予防のために、会社の自主判断によって従業員を⼀⻫に休業・自宅待機をさせた場合

事業者の不可抗力には該当しませんので、労働基準法に基づき、休業手当(平均賃金の60%以上)を支払う義務があります。