人材の募集をする際の自社の紹介として、「アットホームで、風通しのいい職場です!」などといった紹介文をよく目にします。
面接などの場でも、「我社は社員の意見も積極的に取り入れる、風通しのいい職場だと言えます!」と代表が熱く語る、といった光景も珍しくはありません。
この「風通し」ですが、経営者側の独りよがりになっていませんか?
「風通し」の良し悪しは、労働者の定着率にも大きく関わってくる問題です。今回は、労働者側が考える「風通し」の良さについて見ていきます。
経営者ではなく、社員が思う「風通しがいい会社」とは?
経営者や、それに近しい幹部など使用者側が考える「風通し」と、実際に作業をする労働者側の社員が考える「風通し」が違ってしまえば、本当の意味での「風通し」の良さにはつながらず、労働者の定着率は下がる一方です。
では、労働者側としては、どういったことがあると「風通し」がいいと感じるのでしょうか?
(1)自分の意見が言える環境であること
上司や先輩に対して、自分の意見を言える職場環境であることが求められることが多くあります。
労働者としては、意見内容の良し悪しや、その意見を採用するか否かは別として、部下や後輩にあたる人たちが意見を言え、それに対し上司や先輩が耳を傾けてくれること自体に価値があると考えているのです。
(2)職場内の人間関係が良好であること
先輩後輩間や、部や課、チームの垣根を超えてコミュニケーションが盛んであると、風通しが良いと考えれることが多くあります。
些細なことでも相談できる様な雰囲気を労働者側は求めていると言えます。
当然、社内にカーストがあったり、いじめがあったりなどすれば、社員同士だけの問題ではなく、会社としても対処をしていないということになり、それは風通しが良いとは言えません。
(3)上司や先輩自身がコミュニケーションを取りやすい人であること
会社全体でなくとも、上司や先輩個人が相談や会話がしやすい人であると、風通しが良いと感じます。
業務に対する悩みや不満などを気軽に相談できる人であれば、些細なことでつまづいたり、モチベーションが低下することを防ぐことにもつながります。
個々人の性格の問題などもあるため、教育することはなかなか難しいですが、接し方について意識することはできないことではありません。
(4)窮屈さを感じない環境であること
直属の上司や先輩以外の交流がなかったり、他部署や他チームとは関わらないなどといった閉鎖的な社風の会社は、風通しが良いとは言えないといった意見が多くあります。
同じ会社であるのにもかかわらず、「よそはよそ、うちはうち」といったやり方でやっているような風潮がある様だと、閉鎖的で窮屈と感じる労働者は多い様です。
(5)有給休暇など休みが取りやすい
労働者の権利である有給休暇が取得しづらいというのは、他がどんなに良くても風通しが良いとは言えません。
有給休暇を上司の承認制などにしている会社もある様ですが、有給休暇はやむを得ない事情がない限り、上司の承認の有無などは原則必要ないものです。
風通し以前に、法律に違反している可能性があります。
(6)サービス残業がない(ブラック企業ではない)
これも(5)と同様で、風通しの良さ以前の問題で、法律に違反している可能性があります。
法律違反の可能性がある会社が、いくら良好なコミュニケーションをとって、従業員の意見に耳を傾けても、それは風通しが良いとは言え言えないのです。
(7)従業員に隠していることがないこと
会社に関する全てを開示して欲しい、といったところまで求める従業員は少数ですが、会社がどこに向かっているのか、何を目指しているのかがなどが不明確であったり、従業員に対し言っていることと、会社で現実に起きていることが違うなど、本音と建前に差がある様な場合には、決して風通しが良いとは言えません。
特に社長がワンマン経営タイプのベンチャー企業の従業員に多くある意見です。
まとめ
労働者側としては、「風通しの良さ」に上記のような事を求めています。
経営者側の人間が考える「風通しの良さ」と労働者側が求める上記とに違いがあった場合には、本当の意味で「風通しが良い」とは言えないかもしれません。
経営者側としては、相互により良い労働環境を作れるよう労働者側の意見にも耳を傾けることで、本当の意味で風通しが良くなるのです。