社員に人材を紹介してもらう「リファラル採用」のメリット・デメリット【2021年12月加筆】

どの業種でも人手不足が解消されない昨今、各会社はどのように人材を募集していますでしょうか。

募集の方法としては、自社HPへの求人情報の掲載や求人情報サイトへの掲載、人材紹介会社の利用やハローワークからの紹介などが一般的です。

そんな中、近年新たな採用方法として注目を集めているのが「リファラル採用」というものです。特にIT系事業のベンチャー企業やスタートアップ企業などが、この制度をうまく活用しているようです。

このリファラル採用とは、どういったもので、会社側としてメリットはあるのでしょうか。

社労士5000

そもそも「リファラル採用」とは

リファラル採用とは、簡単に言うと、自社の社員から、友人や知人を紹介してもらう募集方法による採用活動を言います。

いわゆる「コネ」「縁故」採用ということ?と思うかもしれませんが、そこには違いがあります。

いわゆるコネ・縁故採用とは、社内で権力のある人が、半ば無理やり採用をさせることを指すことが一般的ですが、リファラル採用の場合は、あくまで募集までの段階を紹介によるものとし、採用の有無は会社側にあることが一般的です。

つまり、リファラル採用の場合には、必ずしも採用になるとは限らないという事です。

リファラル採用の会社側のメリット

リファラル採用を行う場合、会社側には次のようなメリットがあります。

(1)採用後のミスマッチが少ない

既に雇っている社員から紹介をしてもらうので、仕事内容や社内の雰囲気などが紹介者から伝わっていることが一般的です。

紹介をしてもらう人からすれば、元来、友人もしくは知人であり、かつ、実際に働いている人からの情報であることから、一般的な方法による募集に比べ、「リアルな情報」を得ることが出来ます。

それは、会社側も同じで、紹介する従業員から、紹介者について履歴書や面接などでは得にくい情報を得ることが出来ます。

そのため、入社してから「思っていたのと違った」といったことが発生しにくくなります。

(2)早く職場に慣れることができるため、早い時期からの活躍が期待できる

入社の段階で、既に顔見知りの人が社内にいるため、入社する社員からすると職場になじみやすく、会社側としても、紹介者を教育担当者にあてがえば、意見や不安な部分を聞き出しやすく、コミュニケーションが活発に行われることから、効率的な教育ができ、より早く実践的な業務に従事させることが期待できます。

(3)採用コストが抑えられる

求人情報サイトへの掲載には、年間数十万~数百万円の費用が掛かります。

人材紹介や派遣などを利用すれば、採用後の年収分の何%などといった形でマージンを取られることが一般的です。にもかかわらず、募集が集まらなかったり、採用後にすぐ辞めてしまったり、聞いていたスキルと違っていたりと、かなりのコストがかかります。

しかし、リファラル採用であれば、会社側応募側のどちらもが紹介者を介してリアルな情報が得られ、かつ、広告やマージンなどの費用は基本的には掛かりません。

もし、採用がうまくいかなくても、大きく損をするという事は少ないと言えます。

リファラル採用のデメリット

会社側のデメリットとしては、当然誰かしらの知人や友人であることから、リファラル採用が多くなると、社員同士が馴れ合いの関係になりやくす、緊張感のない職場となってしまうことがあります。

このようなことがあれば、ある程度仕事ができるようになってきたら部署を離すなど、対策を考えておく必要があるかもしれません。

また、周りの社員は知り合いの知り合いであるため、よく言えば社員が一丸となりやすいですが、悪く言うと、結託されやすいとも言えます。

独立や引き抜き、労働争議のようなことなど、よからぬ企てが起きないよう、うまく管理をする必要があるでしょう。

まとめ

紹介者を採用することになった場合は、一定の法律事項に注意した上で、臨時のボーナスを支払うなどといった社内の制度として確立をし、積極的にリファラル採用を進めている企業もあります。

特にIT業界では、面接する人を集めること自体が難しいような現状であるため、自社の社員という信頼できる筋からの紹介であれば、より良い採用活動が行えるかもしれません。