労働者を雇い入れる際に会社がしなければならないことリスト【初めての採用】

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シード期(10人以下程度)のスタートアップ・ベンチャー企業は、日増しに事業が拡大していき、人ではいつも足りないといった状態ではないでしょうか。

そして、どこかのタイミングで、「人を雇おう!」となるものですが、労働者を雇い入れる際には、細かな手続きがいくつもあります。

今回は、労働者を雇い入れる際にしなければならないことを、リストにしました。

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労働者を雇い入れたら、会社がしなければいけないこと

次の事項が、一般的な労働者を雇い入れる前および雇入れた後に、会社がしなければいけないことのリストです。

これらは任意ではなく、法律上、必要な事項になりますので、漏れがないように注意してください。

(1)雇用契約書or労働条件通知書の作成・交付(明示)

労働者を雇い入れた際は、まず、労働条件について明示をしなければなりません。

明示の方法としては、「雇用契約書」か「労働条件通知書」の方法があります。

この二つは、どちらでも問題はありませんが、どちらかは必ず作成・交付をする必要があります。

作成自体は、入社前までに作成しておき、入社日に署名捺印をしてもらうようにしましょう。

(2)社員からの必要書類の回収

身元に関する書類や資格証の写しなどの会社として必要な書類がある場合は、入社後できるだけ早く回収するようにしましょう。

入社前から回収が可能なものについては、入社前から収集を始めても良いかもしれません。

(3)労働保険・社会保険の加入・資格取得手続き

一般的に、「労働保険」は労災保険と雇用保険、「社会保険」は健康保険と厚生年金をまとめた名称となります。

それぞれ加入要件をみたす労働者を雇い入れた場合には、加入させなければならず、その届出の提出時期も決まっています。

労働保険

入社月の翌月10日までに、「雇用保険 被保険者資格取得届」を管轄の労働基準監督署・ハローワークに提出(労災保険は、1年に1回まとめて払うため、個別の届出はしません。)

社会保険

入社日から5日以内に、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所に提出(一般的な事業者(協会けんぽ加入)の場合は、健康保険と厚生年金をまとめて届出ることになります。)

(4)住民税の特別徴収の手続き

賃金から住民税を控除するために必要な手続きです。住民税の支払いは、原則、従業員の賃金から控除し会社が支払い手続きを行う必要があります。

対応事項としては、次のようなものがあります。

  • 住民税の給与所得者異動届出書
  • 特別徴収切替届出書/li>

雇入れる従業員の居住地の市区町ごとに行う手続きのため、市区町村により若干手続きや様式が異なることがありますので、当該市区町村宛に電話等で確認するのが良いでしょう。

(5)法定三帳簿の作成

法定三帳簿とは、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の三つからなる、法律上、会社で作成しなければならない書類です。

入社後遅滞なく作成するようにしましょう。

(6)給与明細書の作成・発行

給与明細は、法律上、労働者に交付しなければならない義務となっているので、給与支給日までに、給与明細書を作成しておく必要があります。

(7)雇入れ時の健康診断

会社は、常時雇用する労働者を雇い入れた際には、健康診断を実施する義務があります。

実施時期については、法律上、明確には決められていませんが、厚生労働省の通達などによると、入社後1か月以内を目安とされています。

ただし、入社前3ヶ月以内に健康診断を受け、その結果を会社に提出した場合には、雇入れ後の健康診断は省略されます。

大企業などでは、入社後に行うことが多いですが、中小企業の場合には、雇入れ日までにあらかじめ受診しておくよう指示し、雇入れ時に結果を提出させることが多いです。

また、雇入れ後は、1年以内ごとに1回の定期健康診断を実施しなければなりません。

入社前に受診しておいてもらうか、入社後に会社で対応するか、あらかじめ決めておき、前者であれば入社前に通知しておく必要があります。

初めて労働者を雇入れる(1人目)場合

会社として初めて労働者を雇い入れる場合には、上記の他に、次のような手続きも必要となります。

(1)給与支払事務所等の開設届出書の提出

給与の支払いが発生する(労働者を雇用する)場合には、管轄の税務署に対して、「給与支払事務所等の開設届出書」の届出が必要になります。

法人設立時に提出していることが多いので、既に提出しているかを確認し、提出していないようなら、雇い入れる前までに届出をしましょう。

(2)36協定の締結・届出

1日に8時間、週40時間を超えた労働(残業)が発生する場合には、36協定の締結・届出が必要になります。

労働者の入社後、速やかに協定の締結および労働基準監督署への届出を行いましょう。

36協定の締結・届出がない事業者で、1分でも残業が発生した場合には、法律違反の状態となります。

HRTechの活用

スタートアップ企業やシード期(10名以下程度)のベンチャー企業などは、労務管理に時間やコストを割くことが難しい時期でもあります。

相反して、労務管理とは手続き的な部分が大半で、基本的な方法である書面で各種手続きなどを行うと、それなりの時間を要することになります。

また、本業の時間を確保するために、人事などの専任の担当者を付けるとなると、コストもかかってしまいます。

こういったスタートアップやベンチャー企業では、給与計算や勤怠管理、法定三帳簿の作成などの「HRTechサービス」を活用して、時間やコストを抑えるといった対応をする企業が増えてきています。

まとめ

労働者を雇い入れる際には、これだけの準備や手続きが発生します。

入社してからバタバタすることがないよう、採用を検討している段階で、これらのことを考えながら進めるようにしましょう。