労働基準監督署は長時間労働に注目!労基署が調査企業を発見するキッカケとは【2022年3月加筆】

社労士5000

労働基準監督署は時間労働に着目

労基署が、現在、最も注目しているのが、長時間労働です。昨今の働き方改革で、長時間の是正は、国を挙げての命題になっています。

また、過労死や過労自殺なども、社会問題化しています。労基署としても、このような情勢のもと、しっかりと企業の働きすぎを監視しているのです。

そもそも、企業が従業員に残業させるときは、通称「36(サブロク)協定」労働組合などと結び、これを労基署に提出することが必要です。

36(サブロク)協定が締結されていても、無制限に残業をさせていいということにはなりません。

長時間労働している企業については、労基署から指導・是正勧告が出されます。

この指導に従わなかったり、労基署からの必要書類の提出自体を行わなかったり、提出内容につき、虚偽の記載があれば、刑事罰の可能性もあり、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになります。

労基署が、調査開始するきっかけ

実際の事故が発生した場合

そもそも、労基署は、調査する企業をどうやって決めているのでしょうか?これには、色々なパターンがありますが、一つは、実際に事故が発生したときです。

過労死や労災が起こると、労基署は法律に則って実態を調査し、原因究明や再発防止の指導をする必要があります。

また、過労死の場合には、労災認定を望む遺族からの請求を受けて、労基署が企業に調査に入るのが一般的です。

過労死については、労災認定の基準に当てはめて、判定が行われます。

また、ケガや病気などの場合も、やはり本人や家族の申告などに基づいて調査・判定が行われ、調査の結果、法令違反があれば労基署は、企業に対して、是正勧告を行うのです。

インターネット上の情報

労基署の方とお話していて、驚いたのが、調査企業のリストアップについて、インターネットの情報も参考にしているということ。

例えば、企業側の求人情報を掲載しているサイトで、法令上、記載すべき事項を記載していなかったりすれば、リストアップの対象になります。

労基署は、従業員のSNSやブログ、口コミサイトも参考しているようです。

メール・電話相談窓口からの問い合わせ

厚生労働省のホームページには「労働基準関係情報メール窓口」があります。

こちらは、誰でも、気軽に相談や苦情などを送れるようになっています。本人でなくても、その家族や辞めた従業員でも、情報が送れます。

また「労働条件相談ほっとライン」というフリーダイヤルの相談窓口も設置されています。

このように、従業員側が、企業の労働実態を相談できる先があります。また、本人でなくても、本人から話を聞いた家族も、相談することができあるのです。

そして、そのような相談があれば、労基署にも記録が残り、労基署の調査対象として、リストアップされてしまうのです。

法律上は、経営者は、従業員が上記のような申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇などの不利益な扱いをしてはならない、と定めています。

しかし、実際問題として、申告した従業員が会社に在籍している場合に、企業としては、目に見えない形でも、嫌がらせなどをされる可能性もあります。

そこで、労基署は、申告した人の氏名などは明かさず、企業側に定期監督として調査を行うことが通常です。

よって、定期監督として、調査に入った場合でも、実は、従業員(その関係者)からの申告だったということもあるのです。

企業は、時間管理・労働環境の見直しを

以上のように、労基署としては、労働者保護の観点から、企業側の情報を集め、労働環境の悪いところには、調査に入っています。

また、従業員側からも、労基署に対して、情報提供できる環境が整っています。企業としては、法令に則った体制を整えておくのが、一番の対策になるのです。