労働基準監督署から通知がきたときの対応方法と3つのポイントとは【2022年4月加筆】

社労士5000

労働基準監督署とは

企業を経営していると、労働基準監督署(労基署)という機関を聞いたことがあると思います。「労基署に駆け込まれる」というのは、経営者にとって、怖い響きがあります。

そもそも、労働基準監督署とは、厚生労働省の内部組織の一つである労働基準局の出先機関です。労働基準法に定められた行政機関として各地域に設置されされています。

この労働基準監督署の役割としては、従業員の側に立ち、企業側が労働関連法の遵守をしているかの調査や指導を行っています。

そして、企業側に違法行為があれば是正勧告を行い、必要であれば、強制的に会社に立ち入り、調査することができます。法律に違反があれば、逮捕、送検(検察官に送致)もする権限があるのです。

労働基準監督署の調査の種類

労基署の調査は、企業に対し、労基署へ呼び出すものと企業へ訪問するものに分けられます。

労基署が企業へ訪問することを、臨検監督といいます。臨検監督には、定期監督申告監督災害時監督再監督があります。

定期監督

定期監督は、その名の通り、労基署による、定期的な調査です。労基署のリストにより、任意に行われます。

この定期監督は、企業側に電話や書面で事前に通知があります。その上で、労基署と企業側との間で、日程調整の上で、面談することになります。

定期監督では、企業の労働時間や健康管理の実態などが調査されます。資料提出等について、どの程度、調査するかは、調査官によっても異なります。

この定期監督で、法令違反があったときには、是正勧告を受けることになります。

申告監督

これは、従業員から労基署に相談・申告(いわゆるタレコミ)があったときに、労基署が行う調査です。

労基署は、労働者のための機関ですから、労働者から申告を受けた場合、労基署は100%調査を行います

こちらは、実際に労働者からの申告があるので、定期監督よりも、具体的かつ厳しいものになる傾向があります。

災害時監督

企業で、実際に過労死や労働事故などが発生した場合に、労基署から調査が行われるのが災害時監督です。

当該事故の実態調査や原因究明、再発防止などの指導が行われます。

再監督

定期監督などの後に、労基署が指摘した事項が改善されているか確認するための調査をいいます。

再監督は、労基署側から調査する場合もありますが、以下の場合に行われることが多いです。

  • 是正報告書を提出しなかった
  • 労働者からの再調査の依頼

再監督で問題点がみつかってしまうと、刑事手続に移行することもあります。

再監督は厳しいものになり、逮捕者が出ることもあります。

労基署からの調査は、具体的に何をするのか

労基署からの調査は、以下が行われます。

  • 労務関係書類の調査(法律で決められている書類があるか)
  • 労務担当者、社員への聞き取り
  • 実態の調査

事前に質問事項や確認書類については、労基署側から指定されることが多いです。

調査については、定期調査であれば、労基署が企業側に出向くことが多いですが、企業側が労基署に行って、事情を話すこともあります。

労基署対応の3つのポイント

では、実際に労基署対応について、どのように対応すればよいのでしょうか?

対応の準備をしっかりする

当たり前のことですが、労基署からの調査については、事前確認、総務部門との情報共有など、会社側として、事前準備をしっかりしておきましょう。

労基署は、強制力をもった行政機関ですので、対応を間違えると、企業としても致命傷になりかねません。

また、労基署が、事前連絡なしにやってくる場合があります。このようなときに、担当者がいない場合には、その旨を伝えて、再訪をお願いした方がよいです。

よくわからないのに、むやみに対応してしまうことは絶対に避けるべきです。

法定書類は整備しておく

2つ目の点は、企業として、法律上必要な労働関係の資料は、常に備えておく必要あります。

調査に要求される書類は、ケースバイケースですが、事前に求められていない資料でも、法定の書類は、提示を求められることがあります

法律上求められている書類を、備えていないというのは、それだけ法令違反の対象になります。

一般に、調査の結果に法令違反の事実があれば是正勧告書が交付され、明らかな法令違反でなくても改善の必要がある場合などには指導票が交付されますが、書類がなければ、それだけで是正指導の対象になってしまうのです。

法定書類については「各種規定ファイル15種セット」と「社内様式ファイル36種セット」を無料でダウンロードできますので、ご利用ください。

資料の改ざんは行わない

自社を検討して、法律に基づいた資料が無ければ、速やかに対処する必要があります。

しかし、資料を改ざんするのは、絶対にしない方が良いです。例えば、タイムカードの資料を改ざんし、長時間残業はなかったとするなどの行為です。

資料の改ざんなどを行うと、悪質な違反として刑事罰もあり得ることになります。