クラウドサービス・チャットツールを利用する際の労務上の注意点は?

社労士5000

クラウドサービス・チャットツールを使っているが…

IT企業では日常的に、業務でクラウドサービスチャットツールを使用することが多いです。

ChatworkやSlackなどは日常的に使っていますし、文書などもクラウドで保管したりしています。

会議については、ZOOMなどのオンライン会議システムも、頻繁に活用されています。

このサービスは、気軽に使える分、業務時間外だろうが、休日だろうが、業務連絡をしてしまいがちです。

このチャットツールを利用して、就業時間外にも業務連絡事項を送ったり、休日にやり取りしているケースもあるようなのですが、これに要する時間は、労働時間として算入しなくてはならないのでしょうか?

労働時間とみなされることに注意

こうしたチャット形式のクラウド会議サービスを利用する企業で注意しなければならないのは、業務連絡や会議を就業時間外に行なう場合です。

判例上、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれていると客観的に判断できる時間」とされています。

たとえば、就業時間中にグループ会議を設定し、それへの参加を強制する場合や、チャットツールで即応を求める場合、これらに要した時間は当然に労働時間となります。

一方で就業時間外、たとえば休日にこうしたチャット形式のツールを利用して、上司から部下に業務に関するメッセージを送った場合はどうなるのでしょうか。

この場合、部下に返信を義務づけたり、スマートフォンをONにしておくように指示している場合には、こうしたメッセージを送るために要した時間は、労働時間とみなされる可能性が高くなります。

労働時間をみなされないようにするためには

労働時間か否かの判断は、裁判でも非常に問題になるところです。

実際に裁判になった場合には、その業務連絡の内容や頻度等の実態を総合的に判断して、労働時間かそうでないかが判断されることになります。

そこで、チャットツールを導入する際には、「返信は休日や所定労働時間以外には不要」とあらかじめ周知しておけば、業務連絡があったからといって、それが直ちに労働時間とみなされるリスクは少ないといえます。

また、そもそも、就業時間以外には使用しないということをルール化したほうが、労務リスクは低下します。

どうしても休日に送る場合には、「返信は、月曜日にしてください」などの注意書を添えるとよいでしょう。

気軽にメッセージが送れてしまうチャット形式であるからこそ、ぜひ気をつけておきたいことです。