SNSを使って、人を採用をする場合の労務・法律上の注意点【解説】

社労士5000

SNS経由での採用が増えている

Twitter(ツイッター)のビジネス利用が増えていて、経営者もTwitterを利用している人が増えています。

このようにTwitter、facebook、InstagramなどのSNSを通じての採用活動も活発になっています。

採用候補者に対して「まずは、会社の雰囲気を気軽に見にきませんか?」というようなダイレクトメッセージを送り、企業訪問に来てもらうなども行われているのです。

このようなビジネスSNSを利用した採用活動の際に、労務管理上、注意しなければならない点はあるのでしょうか?

企業訪問と採用面接の境界線を設ける

SNSは気楽さがあるので、「まずは、当社を見にきませんか?」といった感じで始まる場合も多いです。

それ自体は全く問題ありませんが、採用する手続きを開始する場合には、法律が関わってきます。

企業訪問については、もちろん法規制などはありませんが、「採用」については職業安定法の規制があります。

例えば、採用面接の前には募集ポジションに関する労働条件の明示を行なう必要があります。

たとえば職業安定法では、労働者となる者を募集しようとする場合には、労働条件について書面の交付により明示する必要があります。

  1. 業務内容
  2. 契約期間
  3. 就業場所
  4. 就業時間
  5. 休憩時間
  6. 休日
  7. 加入保険
  8. 試用期間
  9. 時間外労働(裁量労働制を採用している場合はその記載)
  10. 賃金月給(固定残業代を採用する場合はその記載)
  11. 募集者の指名または名称、派遣労働者として雇用する場合はその旨

また、これらの事項については、当初明示した労働条件が変更される場合には、変更内容についても再度明示する義務があります。

採用選考に入る前か後かの境界を明確に

SNSを利用して、まずは会社の雰囲気を見に来たという求職者については、企業訪問時点では上記のような労働条件の明示は不要ですが、実際に書類選考や一次面接といった採用面接の過程に入る場合には、上記の募集条件を書面で明示またはメール送付する等の対応が必要となります。

SNSを利用する場合には、採用選考プロセスに入る前と入った後の境界線が曖昧にならないような運用(あらかじめ採用選考プロセスではないということを伝えておくなど)を構築し、実際に採用選考プロセスに入った場合には、労働条件の明示など職業安定法に沿った運用をしていくことを忘れないようにしましょう。