はじめて外国人労働者を「雇用する前」に会社が検討しなければならない9つのポイント

2019年4月には入管法の改正などもあり、より外国人が日本で働く期間が増えてきました。

ITの分野では、残念ながら、入管法の改正による恩恵は受けられませんでしたが、エンジニアの外国人労働者は年々増えてきおり、スキルがあるなら積極的に採用したといった事業者も非常に多くいらっしゃいます。

しかし、外国人を雇用するというのは、想像通り、様々なハードルをクリアしなければなりません。

企業として、本気で外国人の雇用を検討したい場合には、何に注意したらいいのでしょうか。

社労士5000

外国人を「雇用する前」に、考えておきたいこと

外国人雇用を検討する段階では、次のような事を考えておく必要があります。

(1)外国人労働者が担当する職務の決定

日本では、細かな職務を定めず「総合職」や「正社員」などと、かなり広い枠で採用し、様々な業務をさせたり、部署やチームのローテーションがあったりすることが一般的です。

しかし、外国人が日本で働くために必要な在留資格は、従事する業務の内容によって、在留資格の取得を認めるか否かが判断されます。

そのため、外国人を雇い入れようとする企業は、あらかじめ業務の内容を詳細に決定しておかなければなりません。

また、国によっては、責任の所在について「ここまでは私の業務だが、それ以外は私の業務ではない」といった考えをする文化の国の方もいます。

トラブル防止といった観点からも、業務内容を明確にしておくことが必要になります。

(2)在留資格の確認

外国人が日本で働く際には、就労可能な在留資格を取得している必要があり、在留期間内かつ在留資格で認められた範囲内での業務しか行うことができません。

外国人を雇い入れる際には、必ず、募集の業務に必要な在留資格であるかどうかをチェックしましょう。

(3)会社側の手続きの確認

在留資格の取得について、入国管理局による会社の審査などがある場合があります。その際には、財務諸表などの必要書類の提出が求められることもあります。

手続きには高度な専門的な知識を問われるため、必要に応じて行政書士などの専門家への依頼も検討する必要があるでしょう。

(4)募集の方法

特定の方が決まっている場合以外で、広く一般的に募集をする場合には、募集の方法や場所についても検討をしなければなりません。

インターネットを利用する場合でも、国籍ごとに利用者が多いサイトや、利用できるサイトが異なっていることも多くあります。(中国人はTwitterよりweiboを使っているなど)

国籍ごとの違いなどを含めて、効果的な募集方法を検討する必要があると言えます。

(5)労働条件の確認・通知

日本人に対する場合でも同様ですが、「言った、言わない」の問題や、「伝えた、正しく伝わっていなかった」といった問題が発生しないようにするためにも、労働条件の通知は口頭のみならず書面による通知をし、署名をしてもらうようにしましょう。

書面を作成したとしても、正しく伝わっていなければ、トラブルが発生してしまうこともあるので、分かりやすい内容で、口頭でも確認しながら進めることが望ましいと言えます。

(6)社内の受け入れ準備

初めて外国人労働者を受け入れいる場合には、就業規則などの社内ルールマニュアルなどについても、外国人労働者が理解できるようにしておくことが望ましいと言えます。

また、既存の社員に対いても教育や理解を促しておく必要があるでしょう。

(7)労務手続き

いざ入社した場合には、外国人にも労働保険や社会保険の加入が必要になる場合があります。

また、住民登録など、雇入れる外国人本人による手続きなどもあるので、これらの手続きには漏れがないようにしなければなりません。

手続きについては、雇入れる外国人にも理解をしてもらう必要があるでしょう。

また、外国人を雇用する事業所のみが作成・提出しなければならない書面などもあります。(「外国人雇用状況の届出」など)

自社ではどういったものが必要なのかを把握しておくことが重要です。

(8)外国人労働者自体への理解

当然ですが、国が違えば文化や慣習、商習慣も違うものです。

円満に働いてもらうためには、特定の国の人には、特定の配慮なども考えなければなりません。

受け入れ側としても、なれないことが多くなりますが、既存社員との調整や理解なども非常に重要になります。

(9)外国人労働者とのトラブル

日本人間では問題にならないようなことも、外国人労働者の場合にはトラブルとなってしまうといったことが少なからずあります。

どういったトラブルが発生する可能性があるのか、といったことをあらかじめ検討しておくと同時に、トラブルを回避するためにも、口頭による説明や書面の通知は十分に行うことはもとより、日頃からコミュニケーションを取るように心がける必要があるでしょう。

まとめ

労働者の確保は、どの産業でも重要な課題の一つです。

外国人労働者の雇用は、はじめの一人がクリアできれば、同業他社に頭一つ抜け出す可能性を大いに秘めていると言っても過言ではありません。

人手不足が深刻な企業は、外国人労働者の雇用を検討してみてはいかがでしょうか。